近年、豪雨による河川やため池の水位上昇が原因で大規模な被害が発生するケースが増加しています。そこで、水位を常時モニタリングし、遠隔地からリアルタイムに把握できるIoTソリューションが注目されています。弊社では、お客様が抱えていた「できるだけ低電力でメンテナンスフリーの水位計システムを構築したい」という課題を、Sigfox・BLE・LTEなどを組み合わせることで解決しました。
【課題と要件】
お客様の主な要望は、①大容量バッテリーを積まずに長期間稼働できる低電力設計、②広い通信エリアに対応できること、③電源やネット接続が無い場所でも運用ができること、でした。さらに急な増水時にも迅速にデータを取得して安全を確保できるシステムが必要でした。
【ソリューション】
弊社は複数の通信規格を組み合わせ、現場の環境やコストバランスに応じてSigfox・LTE・BLEを選択する柔軟な設計を行いました。これにより、長距離通信が必要な場合にはSigfoxやLTEを活用し、ファームウェアの更新時にはスマホ端末からBLEでアップデートができる仕様(OTA※)にしました。さらに回路設計や基板レイアウト、ファームウェア開発までをワンストップで対応し、開発効率を高めました。
※OTAとは
OTAとは OVER THE AIR の略称で、無線通信を利用してソフトウェアやファームウェア、アプリケーションのプログラミング(主にアップデート)をすることです。
【成果】
実際に稼働を開始してから3年以上が経過していますが、特に大きな不具合もなく安定運用が続いています。低電力化とメンテナンスフリーの設計により、定期的な点検やバッテリー交換の手間を大幅に削減し、コスト削減にも大きく貢献しています。
【今後の展望】
自然災害のリスクが高まる昨今、遠隔地から水位をモニタリングできるIoTシステムは社会インフラの一翼を担う重要な技術です。弊社では、さらなる低消費電力化や耐環境性の強化など、多彩なニーズに合わせたシステムの開発・運用サポートを今後も積極的に行ってまいります。
当社は電子機器開発をワンストップで対応するノウハウを保有しています。
電子機器開発が初めてというお客様からのお問い合わせも多くいただいていますので、お気軽にご相談ください。